タンネットダイオード(TUNNETT)
★タンネットダイオードとは
タンネットダイオードとは、トンネル注入走行時間効果(Tunnel injection Transit Time)負性抵抗ダイオードのことです。1958年に西澤所長によって提案され、1968年に実現されました。ミリ波帯(30-300GHz)からサブミリ波帯(300GHz-3THz)までの周波数帯の発振を得る事のできるダイオードです。未到は周波数帯域の高周波発振素子として期待されています。
★タンネットダイオードの利点
ガン及びインパットダイオードと比較して、トンネル効果により電流を注入するので、雑音が少なく高い周波数での動作が可能です。
★構造とバンド図
★タンネットダイオード発振器
ステムにボンディングしたタンネット
発振器筐体内の構成と測定回路図
★最近の研究
分子層エピタキシャル成長(MLE)を適用してp+n+in+トンネル接合構造を持つダイオードを試作して研究を行っています。Jバンド帯(220-325GHz)において、基本波モードで発振波長314GHz、出力-4.7dBmのCW発振を得られました。
314GHzでCW発振したタンネットダイオードのトンネル接合の層構造
タンネットダイオードの発振スペクトラムCW基本波発振モード
★周波数と各種アプリケーション図
★今後の目標
従来のギガビット級の通信に対し1000倍程度の高速な通信に使用できるテラビット級の超高周波発振素子として、また分子・固体精密分光や選択加熱・選択化学反応等へ対応できる発振素子としての展開を図る。