半導体ラマン素子の紹介
将来はまさに光による情報伝達の時代であります。光ファイバーは各家庭までつながり
全ての情報は自宅にいながら得ることができます。この膨大な情報量は光の波長を多重化
させることで伝送容量を増加させる、いわゆる周波数多重通信の時代であります。
半導体ラマン素子はこの周波数多重通信時代における周波数選択光増幅器、多波長光源、
さらには天体観測、X線に変わる人体測定用テラヘルツ光源として期待される光素子であります。
このHPでは半導体研究所で研究しています、半導体ラマン素子について紹介します。
【半導体ラマン素子】
____素子紹介______
・半導体ラマンレーザ
GaP結晶のラマン効果を利用し、ストークス光を発振するレーザです。
これまでの研究から、4次ストークス光まで発振を確認し、多波長光源
としての利用が期待されています。更に、発振光は非常に低ノイズであり
精密測定用の光源としての利用も期待されます。
・半導体ラマン増幅器
同じくGaP結晶のラマン効果を利用し、光増幅作用を行う素子です。
超波長多重通信においては、波長選択素子は不可欠であり、半導体ラマン
増幅器は、この多重通信における波長選択増幅素子として期待されています。
増幅器の励起光波長に依存した、波長選択が可能で、非常に狭帯域・高光増幅
が可能であることが、これまでの研究で明らかになっています。
・THz発振光源
テラヘルツ光は天体観測用の光源や、X線に変わる人体測定用の光源、また
治療用の光源としての利用が期待されています。GaP結晶を用いた、差周波効果
を利用し、このテラヘルツ光が発振可能であります。
_____半導体ラマン素子に関係した主な歴史_____
1928年 ラマン散乱確認(C.V.Raman)
1950年 pin-PD提案(J. Nishizawa)
1952年 APD提案(J. Nishizawa)
1957年 半導体メーザ提案(Watanabe, Nishizawa)
1960年 半導体ラマンレーザ提案(Nishizawa)
1980年 半導体ラマンレーザ、発振確認(Nishizawa, Suto)
(発振しきい値:1MW)
1996年 光導波路型半導体ラマンレーザ、低しきい値発振(Nishizawa, Suto, et al)
(発振しきい値:50mW)
1999年 半導体ラマン増幅器・増幅確認(Nishizawa, Suto, et al)
(CW励起モード:3dB、パルス励起モード:10dB 増幅)
2001年
半導体ラマン増幅器、高増幅率達成
(20dB増幅達成・パルス増幅、3.7dB増幅達成・CW増幅)
テラヘルツ光源実験開始
【研究に関する問い合わせ先】
半導体研究所TEL 022-223-7287
半導体研究所FAX 022-223-7289
E-mail sutoken@material.tohoku.ac.jp(須藤教授)
Updated on Feb. 16, 2001