フォトキャパシタンス測定(PHCAP)

フォトキャパシタンス測定とは

 微細化・高集積化が進むVLSIやULSI製作では、極微量の混入不純物が半導体製品の歩留りや信頼性等に深刻な影響を与えます。フォトキャパシタンス測定(PHCAP)は、このような極微量の汚染不純物を高感度かつ定量的に検出することができます。
フォトキャパシタンス測定は1967年に西澤所長によって発明されました。

  
(例)
1ppm 10-6 100万分の1 家庭用浴槽に角砂糖1個を溶かした程度の濃度
1ppb 10-9 10億分の1 50Mプールに角砂糖1個を溶かした程度の濃度
1ppt 10-12 1兆分の1 東京ドームに角砂糖1個を溶かした程度の濃度
1ppq 10-15 1000兆分の1 猪苗代湖に角砂糖1個を溶かした程度の濃度

 上の図は従来用いられている微量不純物検出法の感度比較です。化学的手法で最も高感度なものでは検出感度が1ppt(10-12)以下になりますが、固体半導体を測定対象とする場合は複雑で面倒な前処理が必要となり、たいへん面倒です。一方、光・電気的手法は不純物が形成する欠陥準位を検出するので、非破壊測定である上に、容易に高感度が得られます。その中でもフォトキャパシタンス測定は、他の測定法に比べて感度や定量性の面で優れています。





フォトキャパシタンス測定の原理

 pn接合の空乏層中では、アクセプタイオン(−)とドナイオン(+)および、欠陥準位に捕獲された電子(あるいはホール)の電荷がつりあっています(右図)。欠陥に捕獲された電子は、照射される単色光(単一エネルギ)からエネルギをもらって、空乏層の外へ出て行きます。すると、空乏層中では新たな電荷のつりあいが必要となり、結果的に空乏層幅が変化します。
空乏層幅は
  C=ε/W  (C: pn接合容量値、ε: 半導体の誘電率、W: 空乏層幅)
で示されるように、接合容量値の関数です。

 つまり、照射光エネルギーに対する接合容量値の変化から、欠陥準位のエネルギと密度を知ることができます。


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